学生のレポートに生成AI

普段勤務している大学はすべて論述式の試験を実施します。一方、非常勤先の大学は答案用紙を持ち歩くのが物騒なので、コロナウイルス感染拡大以降はレポートにしています。先日採点していると、ある学生のレポートに「GPTに聞いてみる」とメモが消されずに残っていました。やはり、学生の一部は生成AIを使ってレポートを執筆しています。

生成AIは非常に強力な道具です。本当に優秀な人が適度に使えば良いのですが、何も勉強していない人が使うと害にしかなりません。これで何も考えなくなってしまいます。筆者のレポートはウェブ上には無い情報、授業に出ていないと入手できない情報をちりばめていて、学生の生成AI対策を行っているつもりです。完璧に遮断することはできませんが、多くのレポートは表面的で手軽にまとめただけで、せいぜい「可」しか取れませんし「不可」も多いです。

今後の生成AIはさらに進化します。先日「ChatGPT-5」が発表され、これまでより格段に精密な回答ができるようになりました。いまのまま進化が進むと、若い人たちの仕事が次々と失われます。楽観論では「新しい仕事が生まれる」との見方があります。しかし、そんなに甘い認識では生き延びられません。

今後就職していく若い人たちには本当に大変な時代です。人間にしかできない職人的な技能が必要な仕事がもっとも有望です。少なくとも、生成AIで手軽にレポートを乗り切ろうとする学生にできる仕事は皆無です。失業者が大量に生まれるのは確実です。